美術 小沢道成 / 照明 南香織 / 衣裳 山中麻耶 / 写真 moco
EPOCH MAN 二人芝居「夢ぞろぞろ2021」2021年2月/下北沢 シアター711
 
立方体の舞台装置の真ん中に盆芯を設置。手動でくるくると回る機構で、シーンによっては正面・反対側・ななめ角度といったあらゆる画で見ることが出来るようになる。基本は売店が物語の舞台なのだが、反対側は学校の校舎になっていて、それが回る(もしくは回す)ことで現在と過去を行ったり来たりする。この〝回る動機〟を考えるのが興味深かった。いわゆる転換のひとつとして回るのではなく、人物の感情がより動いた瞬間に回ったり、または、人物が自ら回し物語を展開していく。その回る動機を考えることで、人物の想いもより強く描けることになる。人が何かを動かすという行為は、とても体力も気力もいること。その分、ベンチに座って喋るという静の時間も際立った気がした。また、自ら回すだけではなく、外側からの出来事に関しては、強制的に回る、というのも効果があった。例えば、電車が迫るシーンの時、校舎側の窓に2つライトを設置し、見えない後ろから回していくことで、迫ってくる電車の怖さを感じることが出来た。劇場に入ってから気付いたのだけど、設置した照明を人物にあてることで、その窓(透明アクリル板)に、人物の姿も観客席のお客さん達も映り込み、ぞくっとしたのを覚えている。この効果を知ったことが、のちの「鶴かもしれない2020」の美術に繋がっていくことになった。