美術 一色洋平×小沢道成 / 照明 松本永 / 衣裳 山中麻耶 / 写真 小岩井ハナ
一色洋平×小沢道成「巣穴で祈る遭難者」2016年3月/下北沢 Geki地下Liberty
 
俳優・一色洋平と一緒に企画をし、美術・演出も2人で行った公演。近未来の一度滅んだ地球から、あらゆる物が発掘されていくという設定。雪山の洞穴に落ちてしまった2人が、そこで発掘・発見をしていく。地球上にある様々な素材を使って、色々な形の箱を積み重ねた美術にしたいねと作り始める。ブロードウェイで上演している「マチルダ」に大きな影響を受けている。積み重なった箱には、突如開いたり、煙が出たり、木が生えてきたりする仕掛けを。予算が無かったので、演者が登ったりしない箇所はダンボールを土台に装飾をしたり、発砲スチロールを使用。ある箱にはクッキングシートを塗料で茶色くし、それを貼った箱の中から光をあてることで、暖色系の明かりになり、物語の世界観が増したように思える。照明ゼラでもいいが、手作り感があって、それが温かみに繋がって良かったのかもしれない。積み重なった箱達から飛び散るように、宙にいくつかの箱を浮かせたのも、観客席側に物語が飛んでくるようで素敵だった。舞台だけではなく、お客さんが通る入り口からの通路にも照明を仕込んだりと、劇世界が開演前から始まっているのも、2人がこだわった好きな演出。そういう演劇が増えればいいなという想いも膨らむ。