美術 小沢道成 / 照明 南香織 / 衣裳 藤谷香子 / 写真 moco
EPOCH MAN ひとり芝居「鶴かもしれない2016」2016年1月/下北沢 駅前劇場
 
OFF・OFFシアターの舞台形状を、直角ではない緩やかなL字形にする。この劇場の特徴は、壁や天井の形が変わっていて、凹凸が激しい。通常、下手奥の角が、壁から天井に向けて斜めになっているのだけど、これを正面として見た時に、一番しっくりきたのでL字客席にする。細い棒が五本自立し、その一本を別の場所に動かすことで、そこが玄関になる。という演出アイデア。マッチ棒を一本動かす脳トレゲームの感覚。ただ、この自立する細い棒を生み出すことが大変だった。細い竹の棒の底面をくり抜き、そこに磁石を仕込む。そして、自立させたい場所だけ、床のパンチ裏に鉄板を仕込む。通常のパンチの厚さだと磁石が反応しないので、パンチをさらに薄く剥がす。20cm×20cmの一部分を剥がすだけで、丸一日かかった実に繊細すぎる作業だった。無事に自立し、演出としても面白いシーン展開ではあったのだけど、濃い色の竹棒を選んでしまったことで劇場壁の黒と少し馴染んでしまい、効果が減ってしまったのが大きな反省点。薄い色の竹棒か、思い切ってカラフルでもよかったかもしれない。