美術 小沢道成 / 照明 南香織 / 衣裳 藤谷香子 / 写真 moco
EPOCH MAN ひとり芝居「鶴かもしれない2020」2020年1月/下北沢 駅前劇場
 
通常の舞台形状ではなく、観客席側に突き出るような◇の形。上手側のななめ、下手側のななめ、正面、の3方向から観劇をする形状。奥の2面に壁を作り、その壁のあらゆる箇所が、窓や扉になったり、キッチン、鏡になったりと、演者が開けたり形を変えながら舞台を進めていく。基本は家での設定なのだけど、後半には繁華街や夜の店という設定も登場する。鶴の恩返しをモチーフに描く現代のお話、その鶴の恩返しでいう〝開けてはいけない扉〟を開けてしまうというお伽話と現代がリンクするシーンが、物語の展開が大きく動き始める大事な箇所。今まで壁の一部だったのに、このシーンでは、壁一面が全て動き、観客席側に迫っていく。それに合わせ、もう片方の壁も一部が動き、やがて◇だった舞台の形が▽に変化する。その▽の中で行われるのが夜の店での出来事。それが終わると再びその大きな壁が後退していき◇に戻る。演者が街の繁華街を彷徨うシーンで、ショーウィンドウに映る自身の姿を見る時に、壁に装飾された光沢のある素材(塩ビ板)が鏡のように反射する。床も同様、光沢のある塩ビ素材を敷いてい るため、人物だけに強く照明をあてた時には、水面のように人物が床にも浮かび上がる。そんな舞台美術と演出。