美術 小沢道成 / 照明 伊藤孝 / 衣裳 山中麻耶 / 写真 関信行
「水深ゼロメートルから」2021年11月/下北沢「劇」小劇場
 
物語の設定は〝学校のプール〟だったので、高校演劇で上演された初演と同じく具象的なプールを作ろうとも考えた。けれど、具象のプールを舞台美術にしようとするとお金がかかりすぎるので、違うプランを考え始める。と同時に、舞台監督から「本当にプールが必要か」という意見アイデアをもらい、この物語に具象的なプールは必要ないのかもしれないと思い始める。物語上どうしても必要だと感じたのが〝高低差〟。登場人物である高校生たちが普段も使用している学校机を土台にすれば面白いかもと模型を作り始める。広い面の土台は安全面を考え全て固定。数個だけは動かせる状態にし、人物たちが好きな場所に置き、その行動によってその場所がプールにもなるという演出。だったのだが、やはり固定をしないと危ないので、動かさないプランに変更。床面はビニールマットの裏側を使用(片面はマットになっていて、もう片面は光沢になっている。多くの舞台で使用されるのはマット側)。机土台の半分から後ろは実は本物の机ではなく、天板だけを貼り付けたダミー土台。そうすることで安全かつ予算もおさえられる。しかし、この美術は脚がとても印象的だったので、ダミー土台には脚がないから、ダミー土台の側面(見える側)に、「鶴かもしれない2020」でも使用した塩ビ板の黒光沢を貼り付ける。そうすることで前側の本物机の脚が映り込み、ダミーにも脚があるように少しは見える。照明も反射し、とても綺麗だった。