美術 小沢道成 / 照明 中佐真梨香  / 衣裳 藤谷香子 / 写真 moco
EPOCH MAN ひとり芝居「Brand new OZAWA mermaid!」2018年5月/千歳船橋 APOC THEATER
 
人魚が現代の都会にやってくるという物語なので、人魚視点の都会を描きたかった。ファンタジーとして描かれる人魚姫も、もし東京にやって来たら、この現代の光景もファンタジーに見えるだろうなと思ったのが美術を考えるきっかけ。美術に照明を組み込む仕掛けを多く考える。クリスマスで使われるイルミネーションライトを天井に仕込むことで、地上に憧れる人魚の心情が見えてくる。これは簡単な発想ではあったけど、素直に綺麗だった。都会にやってきた時には、壁の枠組みに沿って仕込んだ有機ELの細いライトがランダムに光り、都会の慌ただしさがでればいいなというアイデア。水族館のシーンでは、黒い壁(様々な素材の黒い布で作成)の中に、緑と青を合わせた照明ゼラ&魚の形に切り取った黒画用紙を仕込み、中に設置した明かりが点くことで、魚達が浮かび上がるという仕掛け。幻想的かつ、故郷の深海を想像させる切ないシーンにもなった。また、舞台には円形の回る土台を設置。これを作る技術はないので、円形土台だけは発注にする。この回す装置をやったことで「夢ぞろぞろ」のアイデアにも繋がったわけだが、この時の回す効果が、物語的な意味とリンクしきれなかったのが反省点。やりたい仕掛けが多すぎて予算をはるかにオーバー。しかし、視覚的に楽しいアイデアに満ちていた公演。